10月2日(水) 授業参観後に「スマホはどこまで脳を壊すか」と題して教育講演会がありました。
御講話いただいた方は,東北大学応用認知神経科学センター 助教の榊浩平先生です。榊先生は,脳計測実験や社会調査で得られた知見をもとに,教育現場での講演,教育委員会の顧問,本の執筆などの活動をされています。また,仙台市教育委員会の「学習意欲の科学的研究に関するプロジェクト」委員として,学力と生活状況の関連を研究・啓発をなさっています。現在は「スマホ依存」をテーマに,人類と科学技術が健康的に共生する方法を研究なされています。
榊先生は,ものを考えたり,理解したり,自分をコントロールしたりする脳の前頭前野に着目してお話しくださいました。
脳は,たくさん使うと発達し,使わないと成長しないのだそうです。特に小学校の高学年から高校生にかけて大きく発達するということで,この時期がとても大切だとおっしゃっていました。研究の結果,脳の前頭前野を発達させるためには,計算ドリルを行ったり,音読をしたりすることが大切なのだそうです。そのときに最も脳の前頭前野が使われているとのことでした。
スマホの怖さは,○どこにでも持ち歩けること ○たくさんの機能があって脳にストレスを与えること ○依存症になることだそうです。また,スマホでゲームなどをやっているときは,脳の前頭前野は全く働いていないことが分かったのだそうです。
学力の面から見ると,仙台市標準学力検査と仙台市生活・学習状況調査の分析結果から,1日に3時間以上スマホを使っている人は,勉強を3時間以上やっても睡眠時間を十分にとっても,ほとんど勉強しない人と成績が変わらないことが分かったとのことでした。
榊先生は,使用時間を自分でセーブするような自己管理能力を身につけることが大切だが,それができる子はほとんどいないとおっしゃっていました。
では,どうしていけばいいのか。榊先生は,子供もスマホを使うリスクを理解し,子供自身でルールを作って行くことが大事だと話しておられました。保護者の方が,子供と一緒にルールを作り,保護者の方も一緒に守っていくということを勧めていました。
脳が一番発達する時期に,脳の一番大切な部分が成長しないということに大変危機感を感じました。学校では,榊先生からお話をいただいたことを子供たちに伝え,自分の成長のために自分たちでルールを作っていけるようにしていかなければならないと感じています。